電話の向こうから微かに声がした。
「もしもしもしもし」中年くらいの男の声だった。
亜弥は驚いて、
目を見開いた。
「ぉ、お父さん??」
すると、電話の声の男は
「えっ…亜弥なのか」
誘拐犯の男が電話をかけた相手は亜弥の父親だった。
亜弥は涙が溢れて来た。
「お父さんお父さん怖いょ…
助けて」
男は亜弥の耳からケータイを離して
「ご要望の通り、
お嬢さんの声は
聞かせましたよ…」
その間もずっと亜弥は叫んでいた。
「お父さん助けて」
「あとはアンタが1億準備するダケだな」
「お父さん」
「うるせェ
黙れ」
男は持っていたビール瓶を
床に思いっきり叩きつけ
瓶を割った。
「キャ」
電話の向こうで聞こえる
亜弥の悲鳴を聞いて
父親は驚いた。
「亜弥…亜弥」
男は電話を切り
亜弥を睨んだ。
亜弥はまだ泣き叫んでいた。
男は扉を強く閉め
部屋を出て行った。


