「泣き止んだなら早く帰れ。暗くなってきてる」

「うん」

野島君の手に掴まって立ち上がり、自分の机の中から携帯を取り出した。

「携帯忘れちゃって」

「あぁ、悪い。俺がお前の席で寝てたからな。窓際の方が暖かくて良かったんだよ」

「うん、いいよ。私も起こしちゃってごめんなさい」

「……俺が勝手に起きただけだから気にするな」

「う、うん。……あ、そうだ」

私は自分の首からマフラーを取って、野島君の首に巻きつけた。

「……何だ?」

「貸してって言ってたから」

「いい。お前がしてけ」

「いいよ。野島君してって」