「本当に?」

「あぁ」

安堵したのか急に全身の力が抜けて、涙が込み上がってきた。

「何、泣いてんだよ」

「だって、本当に怖かった……から……」

「何かいろいろ誤解を招いてる気がするが……まぁ、いい」

野島君は私のそばに屈んで、自分の袖で私の涙をゴシゴシと拭き取った。

「の、野島くん!?」

この人、本当は優しい人なのかな。

泣いている私を放って帰ろうとしないし、表情は変わらないけどむやみに怒ったりしないし。

「あ、ありがとう」

野島君は窓の外へと視線を移し、手を差し出してくれた。