sweet voice

「そうでしたか、実は僕、普段は受注業務をあまりやっていないものですから。


今後もしご連絡いただく場合は、水沢までお願いいたします」


・・・やっちまった。


わざわざ課長に連絡するほどのことじゃないのに。


焦ってたから、こんなことにも気づかなかった。


後輩から受け取った名刺をそのまま信じこんでしまった。


「申し訳ありませんでした、以後気をつけます」


「僕あてでも構わないんですが、不在のことも多いですから」


これって、遠回しだけど、俺あてに電話してくんな!ってことだ。


「本当に申し訳ありませんでした」


「いえ、お気になさらず。


数量変更の件、承りました。


それでは、失礼いたします」


「よろしくお願いいたします、失礼いたします」


受話器を静かに置いた。