sweet voice

11時ちょうどに駅前に着くと、伸二くんはもう待っていた。


ネイビーのポロシャツに、カーキのカーゴパンツに、スニーカー。


伸二くんにとって、カーゴパンツは結構冒険したんじゃないかな。


似合ってるけど、ポロシャツはブランドマークが胸に小さくあって、衿に赤いラインが入ってて、きちんと感があるところが伸二くんらしい。


「お待たせ」


「ううん、僕もさっき来たとこ」


「電車乗るよね?」


「こっちだよ」


伸二くんは、そうするのが当然という感じで、私の手を握った。


少し冷たい手に、身をまかせた。


「買い物の前に、ランチ食べるよね?」


「そうだね、なに食べよっか?」


「僕が調べたとこでもいい?」


「調べたって白状しちゃうのが、伸二くんらしいね」


「まあ、この辺はたまにしか来ないし」