「なんか今日は、おとなしいな。


口に合わなかったか?」


「ううん、すごくおいしい」


「俺をみくびるなよ。


なんか隠してるだろ、花音」


「そ、そんなことないって」


「怒らねーから、言えって」


「えっと、実はですね・・・。


名古屋支店の勤務が、5月末まで延期になってしまいまして」


「そっか」


そう言うと、拓海は黙ってビールばかり飲んでいた。


肯定も否定もないなら、怒ってくれた方がマシだ。


「でも、拓海と一緒にいたいのは、本当だから」


「花音はさ、今の仕事が好きなんだろ?」


「えっ・・・うん」


「すぐにとは言わねーけど、大阪で別の仕事を始めることも、考えてくれよな」