彰太は、言いたいことを一方的に告げて、電話を切った。


なんなのよ、もう。


私のことなんか、ほっといてよ。


元カレのくせに、しつこいのよ。


彰太に対して、思いつく限りの悪口を心の中で叫んでいたら、スマホがメッセージの着信を知らせた。


『品川駅17:07発のぞみ243号』


・・・行けるわけないじゃん。


荒井さんに、ひどいことばかりした私が、会えるわけない。


『行かねーと、絶対に後悔するぞ』


だから、行かないってば。


時計の針は、16:40を指している。


今すぐ飛び出さないと間に合わないのに。


17時終業なのに。


どうしろっていうの?


秒針は、私の心を乱すように、規則的に動いている。


そして、荒井さんとの別れの時刻が迫っていることを、教えている。