sweet voice

「川野がボイスメモで録音してて、それを俺に転送してきたんだよ。


まあ、盗聴機みたいなもんだな」


「彰太のやつ・・・」


「なあ、なんで川野のことは『彰太』って呼んで、俺はいまだに『荒井さん』なわけ?


なんか、納得いかねーんだけど」


「え、だって、年上だし」


「川野だって年上じゃん」


・・・そうでした。


「じゃあ、たく・・・」


拓海、って呼ぼうとしたら、


「ストップ、野次馬追っ払ってからな」


荒井さんは個室の引き戸を開けると、恐らく聞き耳をたてていた彰太と茜がすぐそばに座っていた。


「川野、北本さん、そういうことだから」


「荒井、花音、俺に感謝しろよ」


「荒井さん、花音をよろしくね」


二人は荷物をまとめると、そそくさと帰って行った。