そんな冗談みたいな話があるかと思ったが、あのタイミングで倒れたということは事実だ。


俺は掲示板に書かれていた『人間発注書』の事を思い出す。


瑠菜が売られるかもしれないと、興味本位で書かれていた。


そして村山はおそらく『人間発注書』の利用者だ。


その事を瑠菜が知っていて、なおかつ自分自身が売られる可能性があるとわかっていれば、村山の車を見た瞬間極度のストレス状態になっても不思議じゃない。


万が一、自分があの男に買われることになるかもしれないなんて、知っていたとしたら――。


そこまで考えて、俺は強く頭を振った。


まさか。


そんなの俺の考えすぎだ。


自分自身にそう言い聞かせて「やっぱり、わかんねぇよ」と呟くように言ったのだった。