イトコに似ているなんて言われたら誰でもそれほど嫌な気にはならないだろう。


さすがはミホコだ。


「そうだったんだ」


「ミホコちゃんは時々メールをくれるんですよ。庭に咲いた花の写真や、頑張って自分で作った晩ご飯の写真が添えられている事もあります。そう言うのを見ていたらいいなぁと思って」


「だから、俺たちがどんな生活を送っているのか気になったの?」


「それもあります。でも本当は私――」


そこまで言った時、目の前に黒い車が走り抜けて行った。


一瞬見えて運転手に俺はハッと息を飲む。


丘の豪邸に暮らす村山だ。


運転席にギリギリでおさまっていた大きな図体は、間違いない。


あいつ、今日はどこへ行くんだ?


そう思った次の瞬間、隣に立っていた瑠菜が倒れ込んだのだ。


「瑠菜!?」


咄嗟に身を起こそうとするが、瑠菜は青い顔をして苦しげに呼吸を繰り返している。


「瑠菜、瑠菜!?」


俺は半ばパニックを起こしながら、瑠菜の名前を呼んでいたのだった。