俺だって人並みにオシャレを楽しんだりしているけれど、瑠菜とのデートとなると人並みでいいのかどうか悩んでしまう。


誰か家が近いヤツに服を借りようかとも思ったが、みんなだいたい俺と同じような店で購入しているから面白味もない。


うんうんうなり声を上げて悩んでいる間に、あっという間に昼休みになっていた。


「ちょっと秋夜」


休憩時間に入った途端、ミホコが眉間にシワを寄せて近づいていた。


なんだか怒っているようだけど、俺なんかしたっけ?


「なんだよ?」


「どの授業でも答えられないって、どういう事?」


なんだ、ミホコはそんな事を怒っているのか。


「授業なんて身にはいらねぇよ」


そう言って机の上に突っ伏すと、ミホコが飽きれたようにため息を吐き出した。


「瑠菜とのデートが楽しみ過ぎて?」


「まぁ、そうだよな」


「約束時間までまだあと5時間もあるのに?」


ミホコはそう言って教室の時計を指さした。