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それから俺は伸紀の買い物に付き合っていた。


当初欲しがっていた靴はこのあたりには置いていない。


けれど、一応は伸紀の気に入る靴が見つかって、俺は内心ホッとした。


Trustの事を伸紀に教えたのも、行動購入をもちかけたのも俺だ。


それなのに伸紀の商品だけ不良品で、しかも返品を受け付けてもらえなかったとなると、さすがに良心が痛んでいた。


「ごめんな伸紀。あの靴も高かったのに」


バイトをしていない伸紀からすれば、数万円の靴はかなり高額だったはずだ。


「なんでお前が謝るんだよ」


新しい靴を買う事ができてご機嫌な伸紀はそう言って笑った。


「だって、俺が……」


「気にすんなって。あの靴はあの靴で弟が欲しがってたから、今日帰ったらさっそくやるつもりだし」


「そっか……」


誰かに使ってもらえるのなら、俺の気持ちは少しは楽だ。