俺とミホコと伸紀は犯罪者になっていたハズだったが、それもいつの間にかもみ消されていた。


きっと、村山が黒スーツの奴らに根回しをしてくれたんだろう。


そう思うと、少しいい奴だったのかもしれないと思えはじめていた。


村山はずっとずっと高原先生だけを見つめ続けていたのだから。


そこにあったのはきっと純愛だったんだ。


俺はそう思い込むことにした。


あの日、屋敷を出た直後に聞こえた高原先生の悲鳴は今でも鼓膜にへばりついていたが、俺は聞こえないフリをしていた。


そうやって手に入ればいつもの日常だった。


「おはよう伸紀! と、秋夜」


ミホコが伸紀と俺に声をかけて来る。


その声も随分と元気になった。