「これってタケトって子の電話番号なの?」


「たぶん、タケトの両親か友達に繋がるんじゃないかな?」


言いながら、その番号からタケトのSOSが聞こえて来た気がした。


全く関わり合いのない俺と伸紀に希望を託してきたのだ。


俺はジッとその番号を見つめていた。


今はタケトの事なんて考えている場合じゃないとわかっていた。


伸紀を助け出すために、考えなきゃいけないことは山ほどある。


でも……ほっとけるわけがなかった。


あんな自分より年下の子が考えて俺のポケットに忍ばせた電話番号を、見て見ぬふりなんてできるワケがなかった。


「電話を貸してもらいにいこう」


俺はミホコへ向けてそう言ったのだった。