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それから風呂に入るために準備していた俺はポケットの中にナイフ以外の何かが入っていることに気が付いた。


指先に触れた紙の感触に首をかしげる。


ポケットの中にナイフ以外のものを入れていた記憶はない。


疑問に感じながらそれを引き抜くと、白い紙に数字が走り書きされていた。


なんだろうと思って確認してみると、それは電話番号だと理解できた。


番号の上には『タケト』と書かれている。


それを見て俺は目を丸くした。


「秋夜、どうしたの？」


紙をみつめたまま動けずにいた俺にミホコが不思議そうな表情をして声をかけてきた。


「電話番号だ」


「え？」


「施設で中学生くらいの男の子に会ったんだ。その子が俺のポケットにこれを……」


そう言って紙をミホコへ差し出した。