駅はきた時と同様無人駅だったが、周囲を歩いていると小さな民宿を見つけた。


朝ご飯がついて1人3000円という安さだ。


その代わり部屋は狭くて、畳が少しジメっとしている。


それでも文句なんてなかった。


古民家の離れをそのまま客室にしているようで、母屋の方からは子供たちの声が聞こえてきていた。


「すごくのどかな場所なのに、あんな施設があるんだね」


離れの縁側に腰を掛けてミホコが呟くように言った。


「あぁ。そうだな……」


村の人たちはもちろんあの施設があることを知っているのだろう。


この穏やかな場所には到底似つかわしくない。