「ミホコの居場所を聞き出すためだとしても、さっきのはないんじゃないか?」


女子が生活をしているのは建物の二階部分になるらしかった。


男女の交流はないため、そのどこにミホコがいるかわからない。


それだけの情報をタケトから受け取っていた。


「ミホコの居場所を聞き出すだけじゃない。ちゃんとタケトの事も助けるつもりだ」


階段の踊り場に俺たちはいた。


この階段を上がり切れば、ミホコがいる女子の生活スペースになる。


「そんなこと、できるわけないだろ?」


ミホコを助け出すだけで精いっぱいだと思っていた俺は、思わず声を荒げてそう言った。


「ここまで来られたのはただ幸運だっただけだ。欲を出せば失敗する!」


「だけど、あの子を見捨てる事なんてできない」


伸紀は真っ直ぐに俺の目を見てそう言った。


伸紀の考えに迷いはないようだ。


「俺たちがここまで来られたのは幸運だけじゃない。きっとそういう運命だったんだ」


「本気かよ」