山の中へ入る前に、俺と伸紀は小さな商店へと足を踏み入れた。


村にコンビニなんてものはなく、腹が減った時にフラッと入れるような店も見当たらなかった。


俺と伸紀は商店の前に置かれた青いベンチに腰をかけて昼食を取った。


山の中を更に2キロは登って行かないとならないので、飲み物も調達した。


「こんななにもない場所に施設を建てるってことは、やっぱりひと目を気にしてるんだろうな」


パンを食べ終えた伸紀がそう言った。


「そうだろうな。俺たちみたいなやつだってきっといるだろうしな」


ネット上では売られてしまったわが子を思う親のブログなどもあった。


自分の仕事がうまく行かなかったせいで、また、ロボット導入によりリストラをされたせいで、大切な子供が犠牲になる。


そんなことが多々起こっているようだ。


「そう言えば、この村ではロボットを見ないな」