「施設はどこにありますか?」


そう聞くと、村山はわざとゆっくりとした動作でコーヒーを飲んだ。


俺たちの様子をうかがっているようだ。


俺は背中に汗が流れて行くのを感じた。


ここで失敗すればミホコを助ける事はできなくなってしまうだろう。


村山が最後の綱だったのだ。


「知りたいか?」


「知りたいです」


俺は躊躇なく返事をした。


村山は俺の顔を品定めをするようにジッと見つめる。



その視線にがんじがらめにされて、呼吸すら苦しく感じられた。


けれど、それはほんの数十秒だった。


村山は俺から視線を外すと「教えてやろう」と言い、施設のある村の名前を口にしたのだった。