人間発注書

「ちょっと待ってろよ」


伸紀はそう言うと、スマホをいじりはじめた。


5分ほどいじってから顔をあげて「まじかよ」と目を丸くして聞いて来た。


「なにがだよ」


「人間発注書って、合法的な人身売買じゃねぇかよ」


驚いたように声を上げる伸紀。


今更かよ。


と、思ったけれど俺だってつい最近まで知らなかったのだ。


人のことは言えなかった。


「なんだよこれ、俺こんなの知らなかったぞ。どうなってんだよ日本は」


そう言って大げさに頭を抱えてみせたりる。


「なぁ伸紀、このクラスの奴がそれに売られたって言ったらどうする?」


そう訊ねると伸紀は瞬きを繰り返し、頭の上にあった両手をそっとおろした。


「……冗談だろ?」


と、ひきつった笑顔でそう聞いてくる。