「そっか、立木君は白鳥さんと仲がよかったもんね」


眉を下げてそう言う高原先生は、どこか同情しているようにも見えた。


「白鳥さんは数日前に転校してしまったの。辛くなるからみんなにはこのことを黙っていてほしいって言われてたのよ。黙っててごめんね」


本当に申し訳なさそうな顔をしてそう言われたので、俺は愕然として高原先生を見つめた。


違うだろ、そうじゃないんだろ?


そう言いたいけれど、言葉が喉の奥に引っかかって出てこない。


もしかしたら高原先生はなにも知らないのかもしれない。


本当に、ただ転校するとだけ聞いているのかもしれない。


もしそうなら、高原先生に詰め寄ってみても無意味なことだった。


「もうすぐ職員会議が始まるから、ごめんね」


高原先生はそう言い、自分の席へと戻って行ってしまったのだった。