物事をマイナスにしかとらえられない奴だと思われているかもしれない。


でも、なんとでも思えばいい。


瑠菜は村山の車を見た瞬間に倒れたんだ。


その事実は変わらない。


「とにかく、一度俺の値段を調べてください」


そう言うと、西崎さんがノートパソコンを取り出して何かを打ち込み始めた。


画面を確認してみたい衝動にかられたけれど、恐ろしい気がして覗き込むことができなかった。


「ここに来て君と少し話をしてみただけだから、必ずこの金額だと言い切る事はできないが……」


西崎さんはそう言い、俺にパソコン画面を向けて来た。


そこには俺の名前と生年月日、通っている高校などが明記されていた。


どれも会う前に俺が伝えていた情報だった。


そしてその下の欄には『2億円』という文字が撃ち込まれていた。


「2憶……」


気が遠くなるような金額に目を丸くする。


「これは君がすべての人生を販売した時の金額だ。今から死ぬときまで働き続けたとして得られる金額でもある」


「死ぬまで働いて2憶なのか?」


それは少し少ない気がする。