そんな不安が胸に過った。


けれど、店長がいる前で確認するわけにはいかない。


「あの、店長今日は本当にすみませんでした」


着替えを終えた俺は店長に頭を下げた。


バイトとはいえ、お金を貰っている身だ。


失敗した時にはちゃんと謝る必要がある。


「うん。まぁ、そんな日もあるよ。いつも同じとはいかないからね」


俺がちゃんと謝罪をしたからか、店長はパソコンから視線をこちらへ移動させ、少しだけ表情を緩めてそう言った。


「何があったか知らないけど、ちゃんと気持ちを切り替えておいでよ」


「はい、そうします」


そう言い、俺は小さく息を吐き出す。


「あの、1つ質問してもいいですか?」


「なに?」


今度は体ごとこちらに向いてくれた。


その態度にホッと安堵のため息を漏らす。


「お客さんの中に村山さんって人がいるじゃないですか」


「村山さん? 誰だっけ?」


店長が首をかしげる。


「時々来られて、事務所の中で話をしている人です」


そう言うと、店長が「あぁ、あの人かぁ」と、頬を緩ませた。


会話をしている間に気分が変わってくれたようだ。