村山には人を買うだけの金があるんだ。


俺たちが辞めてくれと頼みこんだ所でやめるとも思えない。


「そもそも、全部俺たちの憶測でしかないんだぞ?」


「そうだ、そうなんだよ! だから本当かどうか確認をしに行きたいんだ。確認をして村山は『人間発注書』なんて知らないようならそれでいい。全部俺の勘違いで済むんだから」


「なるほど。お前は瑠菜ちゃんに謝ったり仲直りをする前に、守りたいんだな」


新人の言葉がストンッと胸に落ちる感覚がした。


守りたい。


そうだよ、そうなんだ。


俺は瑠菜を守りたいんだ。


ただの勘違いならそれでいい。


だけどそうじゃなかったとしたら、俺は瑠菜を守りたいと思っている。


「よし、それなら準備が必要だな。まずはバイト先行こう」


何かを閃いた新人はそう言い、勢いよく席を立ったのだった。