やや上から目線だったかもしれないけど、我ながらナイスアドバイスだと思った。

 きっと実可子ちゃんは目を輝かせて感動しているだろう。
……そう思ったけど、実際は違った。



「そ、そうなんだ」


 彼女はなぜか顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにしている。どうしてだろう。


「じゃ、じゃあわたしはもう行くね。バイバイ!」


 最終的に、実可子ちゃんは逃げるようにして喫茶リリィを後にした。


「あれ、俺なんか変なこと言っちゃったかな……」と独り言を呟いていると、石川さんにぽんと肩を叩かれた。


「冬馬くん、君もなかなか隅におけないですねえ」


「え?」


「天然ですか。将来が楽しみですなあ」


 意味不明なことを言い残して、いつものテーブル席へと戻っていった。