「……え?」
小林さんは目を見開いて竹内さんのほうを見ていた。言われた内容に驚いているのか、他の客が話に割り込んできたことにびっくりしているのか。わからないけど、多分その両方だと思う。
「基本的なことって、なんなのでしょう?」
小林さんの気持ちを代弁するかのように、さゆりさんが竹内さんに質問をした。
あからさまに竹内さんの顔がほころぶ。ようやく相手にされて嬉しかったのだろう。
……俺としては、面白くない展開だ。
「“相手の立場になって考える”ということですよ。具体的に言えば“商品に対して相手はどの程度の知識を持っているのか”を推測して、言葉を選ばないといけない。小林くん、だったかな? 君は顧客への説明に業界用語を使っているんじゃないか?」
「……言われてみれば、心あたりがあります」
「だろう? 自分にとっては当たり前に知っていることでも、相手は知らないかもしれない。もしそうだとしたらできることは一つ。知識をかみ砕いて、誰でもわかるような説明を考えることさ」


