「よく“説明が分かりにくい”と言われてしまいます。商品に関しての知識は完璧なんですけど、お客さんを前にすると緊張してうまく話せなくて……」
正社員とアルバイトでは仕事の質が違うかもしれないけど、小林さんの気持ちはすごくわかる。
俺も日替わりランチの説明をするときに、テンパって何を言っているのかわからなくなる時があるからだ。
そういう時はいつもさゆりさんがフォローしてくれるけど、小林さんにはそういう先輩や上司はいないのだろうか。
「難しいですねぇ」
さゆりさんは、小林さんへのアドバイスが思いつかない様子だ。俺は高校生ふぜいが口を出す問題ではないと思って、もくもくと片づけをしながら過程を見守っていた。
「僕なんかには、営業は向いていなかったってことですかねぇ……」
小林さんがため息交じりに弱音を吐いたとき、黙ってアメリカンコーヒーを味わっていたあの男が口を開いた。
「おそらく君は、営業として一番大切なことがわかっていないんじゃないか?」


