喫茶リリィで癒しの時間を。


 目を細めて笑うさゆりさんは儚げで、寂しそうにみえた。
 支えてあげないと倒れちゃうんじゃないかって思ってしまう。

 さゆりさんは、人には見せないけれど、悲しみと孤独を背負って生きているのかもしれない。
 いろんなことを経験したからこそ、人に優しくできるのかもしれない。


「つまり、私が今ここにいるのは成り行きなんですよね。でも、会社で働いていたときよりも毎日が楽しくて。きっと、こっちのほうが合っているんだと思います」


「いいなあ、僕も店長さんみたいに活き活きと働いてみたいな……」


 小林さんは浮かない顔で、ストローで氷をつついている。カラン、コロンという鈴の音のような音が耳に残った。


「……小林さんは、どうして営業職に?」


「僕は生命保険会社の営業をしているのですが、“人々の生活を支えるお手伝いがしたい”と思って採用試験を受けました。あと、頑張った分だけ収入に繋がるのがいいなと思いまして。でも現実は厳しくて、毎日お客さんに怒られてばっかりなんです。お給料も、今は最低額が保証されているんですけど、二年後には完全歩合制になるんです。このまま契約が取れなかったら生活ができなくなると今から心配で……」


「大変ですね。どうして、お客様に怒られてしまうのでしょうね?」