喫茶リリィで癒しの時間を。

 
「そっか、冬馬くんには話したことなかったですね。私、半年だけOLをしてたことがあるんですよ」

「そうだったんですか!」


 さゆりさんに花のOL時代があったなんて知らなかった。会社でもさぞかし人気があっただろうな。
 重役のおじさまにチヤホヤされていそう。

 制服姿でお茶を出すさゆりさん、想像しただけでニヤついてしまう。
 でも、スーツ姿のきりっとした彼女も捨てがたい。厳しく怒られてみたい……。


「つかぬことをお聞きしますが、どうして会社をやめて喫茶店の店主をすることに?」


 俺が妄想していると、小林さんは真剣な表情でさゆりさんに質問をしている。
 その姿にただならぬものを感じる。さゆりさんも同じだったのか、一瞬手を止めたけど、すぐにドリンク作りを再開した。


「実は、ここは母が祖父母から受け継いだお店なんです。二年前の秋に母が突然天国に旅立ってしまって……いまは私が引き継いでいるんです」


「そうだったんですか。……辛い話をさせてしまって、すみません」


「大丈夫ですよ。不思議とこのお店にいると、母を感じて寂しくないんです。母との思い出がつまっているからでしょうか」