ライバルとはいえ、ここまでひどく扱われるとすこしかわいそうかもしれない。
「ごちそうさまでした、肉じゃがすごく美味しかったです」
「俺もごちそうさまでした! 下げてきますね」
俺はトレイを持ってきて、大きいお皿から順に重ねていった。二人分の食器すべてを両手に持ち、シンクに戻す。
アルバイトを始めたときは、一度に大量の皿を持つなんて無理と思ったけど、今は余裕でできる。慣れってすごい。
「では、水出しアイスコーヒーをご用意しますね。あっ、お時間大丈夫ですか? 会社に戻らないといけなかったりします?」
「いえ、会社にいると“営業は外回りしろ”って怒られるんで、平気です」
再び、小林さんの表情が暗くなった。よほど仕事が辛いのだと察する。
「営業ですかあ、大変ですね。私には絶対できないと思ったので、就職活動の際は営業職を外して活動していました」
「えっ、さゆりさん、就活なんてしてたんですか!?」
新事実に驚くあまり、洗っていたお皿を落としそうになった。
もしかして、就職活動でこのお店に就職したとか……?
だとしたら、雇い主一体誰なんだ? ここ半年、アルバイトをしていたけど、そういう感じの人物に出くわしたことはない。


