「そういうもんなんすね」
いまいちピンとこないけど、経験上大人のアドバイスはためになることがほとんどなので、実践してみようと思った。
「話を戻すが、残念だが、宮野さんの腕ではまだかしわぎの味を出すことは難しい。よって、定食メニューの追加は保留とする」
「……そうですよね、わかりました。もっと練習に練習を重ねます」
「ああ、検討を祈っている」
さゆりさんの口からは前向きな言葉が出ているものの、声のトーンは低い。
ダメだしされて悲しそうなのは、その表情を見てもわかる。
俺も二つの唐揚げを食べ比べたけど、みんなの言う通り味は違っていた。
でも、かしわぎの味は出せていないかもしれないけど、さゆりさんの唐揚げだって十分美味しかった。
それなのに、ここまでダメ出しされるのは納得がいかない。
っていうか俺は、単純に、好きな人に悲しい顔をさせた椿さんに腹を立てている。


