ツッコミどころ満載なんだけれど、椿さんとは初対面だし、ちょっと怖そうだから言えなかった。
「ではまず、おじちゃんのほうから」と、椿さんは唐揚げをひとつつまむ。
けっこう大きいサイズだったのに、一口でパクリと食べた。
「隆弘くん、揚げたてだから熱いんじゃないかい?」
おばちゃんの助言はすでに遅かったようで、椿さんは涙目になっていた。
「お、お水持ってきます!」
さゆりさんに渡されたお水を椿さんは勢いよく飲んだ。
「……すまない、ありがとう」
椿さんは涙目でお礼をいっている。……あれ、この人、もしかして怖くない?
むしろ、どっちかっていうとオチャメな方?
「私の不注意でトラブルが発生したが、しっかり味わったので問題ない。おじちゃんの唐揚げは完璧でした。味付けも絶妙だし、揚げ具合もすばらしい。何よりジューシーで、一口の満足感は相当なものだ。まさに巧みの技だ」


