今はとても、笑って誰かと話せる精神状態じゃなかったからだ。
あの店が無くなったら、俺はどうしたらいいんだろう。
当たり前のようにさゆりさんと会えなくなってしまったら、これから何を楽しみに生きればいい?
何度も自分に問いかけるも、答えは見つからず、ぐるぐる自問自答を繰り返す。
そのうちにどんどん目が冴えて、ほとんど寝れないままが明けてしまった。
――次の日。今日は朝から一日アルバイトの予定なのに、まぶたも体も、ついでに頭も重い。
でも、さゆりさんは今日も俺を待ってくれている。彼女の期待に答えるためにも、しゃきっとしなくてはならない。
俺は何度も顔を洗って、心を落ち着けた。
自宅から商店街までは徒歩で十五分。とくに特徴のないこの道を歩く機会は減ってしまうのだろうか。
そう考えたとたん、目にはいる景色すべてが尊いものに思えるから不思議だ。
……まだ閉店するって決まったわけじゃないのに、センチメンタル過ぎるだろ、俺。


