――夏休み最終日のパーティーは、予想以上にたくさんの子供たちが遊びに来てくれた。
 商店街には子供たちがこんなにもいると知り、驚いたくらいだ。


 実可子ちゃんがあいちゃんを連れてきて、ちゃんと「意地悪してごめんなさい」と謝っていた。

 あいちゃんは「誘ってくれてありがとう」と笑顔で返していて、実可子ちゃんは目に涙を浮かべ、笑い合っていた。
 たぶん、この二人はもう大丈夫だと思う。


 こういう風に、うまくいじめが解決するパターンは少ないかもしれない。

 大人が介入することでよけいにややこしくなるかもしれないし、いじめの原因が“ねたみ”以外にあることも多いだろう。

 一筋縄ではいかないからこそ、いじめの問題は無くならないのだと思う。



「おにいちゃん、ありがとう」


 パーティーにきた子供たちから、何度も感謝の気持ちを伝えられた。

 俺は、このあたりの子供たちのことを甘く見すぎていたのかもしれない。俺が思っていたよりずっと、子供たちはしっかりしていて、与えられることを当たり前だと思っていないみたい。


 素直にありがとうと言える、純粋な心を持っている。
 これも、温かい大人たちの影響なのかな。


 うまくいえないし、きれいごとなのかもしれないけれど。こういう子供たちが、この純粋な心を持ち続けたまま成長してくれたら、今よりもっといい世界ができるんじゃないか。


……なんて大袈裟なことを考えながら、子供たちにまじってパーティーを楽しんでいた。