お客さんは、ほとんどが地元の常連さんだった。

あとは、温泉旅行にきたお客さんや、

それだけが目当ての人もいた。

今日の地元の常連さんは、白髪の眼鏡をかけた優しいおじさんだった。

「何か、欲しいものはない?」

「今は、特にないですよ。」

「じゃあ、お小遣いをあげよう。」

おじさんが、財布を取り出そうとした。

私は、そっとその手を握った。

「こうやって、会いにきてくれるだけで、嬉しいんです。」

そう言うと、おじさんは、私を優しく抱き締めた。