ショッピングセンターで、買った小ぶりのトランクに、必要なものだけ荷物を詰め込んだ。

女将さんが、すぐに送れるように、あとの荷物もまとめた。

駅まで、送ると言う女将さんの心遣いを断り、駅まで歩いた。

途中、好きだった彼の旅館の前を通った。

駅で、北に行く片道切符を買った。

電車は、ゆっくり動き出した。

温泉街の景色を目に焼き付けたかったのに、涙でにじんで、よく見えなかった。