十分ほど歩いた先には "商店街" があり物凄く興味が湧いたが私一人で人混みに飛び込むのはあまりにも危険だった。
鼻も耳も生まれつき鈍いが痛みはきちんと感じる体、この裸足の上からヒールで踏まれてみろ。その場でうずくまって泣き叫んでしまう。そんな目立っことはしたくないため商店街には向かわず人気のない細道を選んだ。
道中に古びた橋を見つけ私は目を輝かせる。

「橋・・・これが、これが橋なのね。本当に水の上に架けられてる。いつ落ちるんだろう、橋の期限とかは」

橋には期限があり何月何日に落ちる、と、橋のどこかに記されてるに違いない。そう思いこの古びた細い橋でひたすらそれらしき文字を探す。が、中々見つからない。

「ん〜〜・・・何故どこにも書かれてないの。この時のためにわざわざ文字まで勉強してきたのに」

頬を膨らませ口を尖らせながらしゃがみこむ。もしかして橋に期限はないのだろうか?目を伏せて考え事をしようとしたその瞬間、肩に誰かの手が置かれた。

「何してるの」

「いやぁ!」

「いっ・・・っ」

驚きのあまり振り返ると同時に背後にいた人間を強く突き飛ばしてしまった。