「茉莉花せんせー!身体の調子は…いかが…で…」

そこに勢いよく保健室のドアを開けた桃井が二人を見て固まった


茉莉花とハルトもそのまま固まる


・・・・・。


三人の間には数秒の沈黙が流れた


「な、何も見てませんから!お気になさらず!失礼します!!」


『も、桃井先生!!待って!!』


桃井は急いで廊下へ引き返す

そして扉から顔だけを出す


『………。』


桃井は笑顔で親指を立てるとそのまま保健室のドアを閉めた


ドアノブにかかっている看板を「出張中」に変え、誰も入らないように気を利かせる


「ふふふ、春ですねー」


そして何も言わず職員室に帰って行った




『さ、最悪…』

茉莉花はベッドの上で項垂れる


「ま、生徒じゃなくて良かったな」

『そういう問題じゃありません!』

茉莉花は生徒に叱る時と同じ言い方をしてしまって、あっ、と顔を赤める


「ふっ…ははっ」

『っははは』


二人は目を合わせて笑った




「これからは、同じ時間を一緒に過ごそう」

『うん、今度は私がハルトを支えてあげる』


また二人は笑い合い、そっと口付けた


夕日が部屋を照らし二人の影が重なっていた









END