__ブルンブルン
また、エンジンの音がしてバイクが止まった。
見渡すとそこは治安の悪そうな場所。
薄暗い倉庫の前。
もうヤダ…
「ねー、降りていいー?」
「…どうぞ……」
バイクを運転していた男が聞いてくる。
聞かなくても降りればいいのに、、
私を恐怖のどん底に落としたのはこいつの運転のせい…
少し睨みつけた。
どうやら私の苦手なものは"速いバイク"だったらしい。とても気分が悪い。
「どうぞじゃなくてさー。笑笑」
?
笑いを堪えてるような表情。
なんか、ムカつく…
「手、離して?」
えっ…
あっ…
うわぁ…
私、ずっとこの人に掴まったまんまだった。。
しかも、抱きつくように掴まっちゃってるし…
うわああああ
「…もうヤダ…」
あ、声に出てた。、、!!
「……っ。アッハハハハー!」
ちょっと…
ひどい…
大笑いしだす男。
「…笑わないでよ……」
「だってさぁー、めっちゃクールだと思ってたら、バイク走り出した瞬間、絶叫しだして僕にすごい力で抱きついて…笑笑。可愛すぎーー!!やっぱ、帰るの無理かもね笑。気に入っちゃった!笑笑」
はぁー?
…
もうこうなったら、ガン無視。
まだ笑ってるし…
私は、回れ右をしてとっとと帰る。

