「そういうキャラって何…」





2人で話しているうちに可笑しくなってきて片方が笑うと、片方もつられて笑う。

「お前、他の女とは違う」




「どういう基準?笑」
「女は自分の利益や満足になるやつに媚びを売る。都合がいい生き物だ。そして、上手くいかない事があればさっきのような事を平気でする」




「うん」

「お前はしない」






「さっきのあれは…なんて言うか…。本気で黒龍に憧れていて、みんな遠い存在なのに…しばらく学校に顔を出していなかった女が急に姫になっちゃえば誰でもあぁなっちゃうんじゃないかな。あの子たちは私に言ってきたけど、本当は他にも言いたいことがある人はいるんじゃない?…まぁ、詩音が言うように、利益とか周りの目とかで近寄りたかった人もいるだろうけどね」


私はヒラヒラ手を振って教室への廊下を歩いた。






「大丈夫?」


頬をさすっていると、どこかで見たことのある…いや、誰かに似ている男の子が私に濡れたハンカチを差し出していた。



「うん?あー、いいよ。ありがとう」

「そんな。使って。」



私の頬にペタッと当てた。
ヒンヤリとしていて、叩かれて熱を持っている頬には気持ちよかった。



「俺は柊雅。よろしくね、先輩」

「…あー…私は」
「葉月。下条 葉月さん。でしょ?皐月君の妹の」


ハッとした頃には名前を言われて、彼は…柊雅は、私に遊びをしよう?と言うような、子供のような目で私を見ている。