私のおでこにキスした挙句、私の膝で膝枕をして寝てしまった自由な優雅。



もう恥ずかしくて何がなんだか分からない。


「ふっ……、くっ」

どこからか声を押し殺して笑っている人がいる。

「け、圭斗さん!!」



笑うな!という意味をこめて名前を呼んだ。




「す、すみせ、ブッ…あ、やばい……腹痛てぇ…っ」




目に涙を溜めて爆笑している。
イラッとした私は、真っ黒な笑みを顔に貼り付けて「圭斗さん?」と呼んだ。


圭斗さんはスっと笑うのをやめて、スーツを整えて座り直した。




「優雅、最近ずっと疲れてますね」


「…内藤組の後処理に追われてるんです」

控えめに言った圭斗さん。
きっと私を気づかってくれて。


「そうですか…」








私の膝の上で、規則正しい寝息をたてて深く眠っている優雅。




「葉月さん、若。着きました」


車がある豪邸の前についた途端、圭斗さんが素早く降りて、いかつい男達が6名、優雅が降りる方のドアの周りを守るように立った。


そして、欠伸をしながら目をこする優雅が降りていくと、大勢の強面の面々が優雅にむかって頭を下げた…。