俺が怜の背中を叩くと、そうでしょうか…と頭をかいた。


「そうだ、じゃあ…「若姐」って言うのはやめましょう。敬語も。」

「いや…でも…いけません…」

「決まりです!私も敬語は使わない。」

「は…はぁ…。わかりました…。では、改めて…よ、よろしく…葉月さん…」



怜は見たこともないくらいガチガチに背筋を固めて、チラチラと俺を見ながら名前を呼んだ。

なんで俺を見る…。


「さん、か…。ま、いいや。」


葉月は不服そうにしながらも、満足気に頷いた。

親父は笑いながら、葉月は人と打ち解けるのが早いな、と呟いた。




「怜さん、抱っこしてみますか?」

「えっ!?いやっ、俺は…子供は…っ」


葉月は、ものすごい勢いで遠慮する怜に羽悠を預けた。

怜はまた、固まりながら、自分の腕の中でスヤスヤと眠っている羽悠の寝顔を、目をパチパチさせながら見ていた。