待てよ…頭が追いつかない…。

いや…まて…。


「葉月と…話せますか…」

「かなり痛がってはいますが、会話はできるかもしれません」



親父とお袋は待合室で待たせ、俺は分娩室に入った。


ベッドの上で、汗をびっしょりにして苦しそうに声を上げる葉月。

「葉月」

「ゆ…っ、優雅…。ひどい顔…」


ふふっと笑う葉月。


葉月に繋がれた心電図。

人の心拍脈拍はどれが正常か、くらい分かる。



あまり、良くはない。


「森谷先生、胎児心拍落ちてきました!」


葉月がその言葉でギュッと目を瞑った。





「私が…いつまでも産まないから…!ねぇ、お願い…出てきてよっ!」