若い男性に声をかけた圭斗さん。

お兄さん、滉雅(コウガ)さんって言うのかな…。


「あの人は、澤村 楓(サワムラ カエデ)さんって言って長男と一緒にここを経営してるんです」

「へぇ…。あ、圭斗さん。」

「はい?」

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「お待たせいたしました。お呼びでしょうか」

「あ、あの…。知り合いに、ここがオススメだって言われて来たんですけど…。
目の前で作ってるところ見られるって聞いて…あなたにお願いしてもよろしいですか?」

「あ…、はい!」


名前なんて聞かなくたって分かるな。

やっぱり似てるなぁ。


優雅も柊雅君も結構似てるから、まぁ、似てるだろうなって思ってたら…だいぶ。

カウンターに座って、滉雅さんの手際を見る。



「どうぞ」

「いただきます」


手を合わせてから、滉雅さんが作ってくれた料理を口に運ぶ。


「おいしい…」

「ありがとうございます」


「あの…お名前は…」

「俺…ですか?」

「はい」


「堂島 滉雅(ドウジマ コウガ)、と言います…あの…」

「あぁ…ごめんなさい。知り合いに似てて…」

「知り合い、ですか?」


喋り方も、仕草も笑い方も、3人ともよく似てる。



「ふふっ。私、近々結婚するんですよ」

「…あぁ…、お、おめでとうございます…」

「ありがとうございます」

「まだ、お若いですよね」


そりゃ、知らない人からこんな話されちゃ、戸惑うよね…(笑)



滉雅さんは夢を追いかけた。
その道の途中で、自分の運命を優雅に託した。


たったそれだけの事じゃない。

かっこいいじゃない。

優雅にもしたい事があったのでは…とか、重荷や責任を押し付けてしまったのでは、って思って…。

いや、私の見る限りでは優雅は有意義な時間を過ごしていると思うのだけど…。


ちゃんと次期組長の座の重さを自覚し、威厳ある毎日を送ってる。



そりゃ、柊雅君と譲り合いしてるけど、心の底から嫌がっているわけではないように感じる。

逆に、次期組長の座…、座っていることに誇りを持っているような…。



お互い、言ってこなかったのかな。