徳孝先生は安心したように笑って、葉月に近寄ると、お腹と肩に手を当てた。
「俺は赤ちゃんとお母さんが引き起こす奇跡を信じてるから。きっと下條さんを助けてくれる。」
産婦人科医の不思議なところで、妙に安心できて、あぁ大丈夫だと思える。
「では、俺は診察に戻ります。」
「あぁ」
徳孝先生は急ぎ足でICUを出ていった。
「そういう事で…出産時、どのような事になるのかは追って説明するね。今は麻痺と闘わないといけないからね」
そうだ。まだ脳の腫れが治まった訳じゃないし、脳にどんな障害が残っているかも分からない。
それに、まだ一部頭蓋骨は嵌っていない。
「頭蓋骨を嵌めるまではICU生活になるけど、何か不自由があったり、困ったことがあればなんでもいいから言ってね。じゃあ、失礼します」
