そこからはほとんど覚えていない。

如月先生がストレッチャーに乗って、葉月に心臓マッサージをしている。


葉月は頭を固定されていて、ガーゼで止血されているものの、ガーゼは既に血を吸い尽くしている。

酸素マスクをされているけど、息はしていない。





「葉月、っ!葉月!」


如月先生は葉月の名前を呼びながら必死に心マをする。


「茅野、脳外科の水谷先生に連絡を!!!あと、」
「下條さん!!!」



手術室に向かう途中、如月先生の指示を聞いていた看護師を退けて、ストレッチャーに飛びついた医者。


「五条…葉月を知ってるのか!?」


心マをして汗だくになりながら、五条と呼ばれた医者に怒鳴るように言った。





「先日…妊娠が分かった産婦人科の患者さんだ…」


「に、!?」




如月先生は訳が分からないと言うような様子のまま、五条先生と多数の看護師と手術室の中に入っていった。