冷静さをかいていた。

こいつらが言うように階段から突き落としたのなら…。


葉月はきっと動けないはずだ。


最悪のことが頭をよぎる。


打ちどころが悪かったら?
もう遅かったら?

お腹の子に何かあったら?



…葉月が死んでしまったら…?



俺は震える女に構わず怒鳴りつけた。


「どこにいる!!!」

「ひっ、ひじ、ょう…階段…っ」





涙でメイクが流れて見るに耐えない女の顔。

早く葉月が「あー痛かった」と、笑う顔が見たい。

この嫌な予感をどうにかしたい。



「薫くん、行こう」

「あぁっ…!」



薫君と俺は全力では走りながら、色んなところに電話をかける。

俺は救急車と若葉君や藍音君、詩音さん、薫君は兄貴や皐月君、愛二くん、龍馬くんに。


初めて、このバカ広い校舎を恨んだ。



早く、早く着け。


やっと着いた非常扉を開けた。
高い階段から下を覗くと、頭から大量の血を流し、動かない葉月がいた。