「てめぇ…舐めてんのか!?」

私の頬を掴む。


終いにはほっぺたを引っぱたかれる。



口の中に広がる久しぶりの味。

ちょっと前は皐月を昏睡状態にさせたやつを探して暴れて回っていた。
まぁ、私だったんだけど。

良く殴られては口切ってたからね。



だから男の拳に比べれば軽いし、あまり切れないけど、やっぱり痛い。



「ねぇ。私も本気でやっていいの?」

「「てめぇこの状況で何言ってんだよ!!!」」
「強がったって怖くねぇし」



リーダー格の女は心の底から怒ってしまったのか、私の前髪を引っ張って無言で移動を始めた。

学校の非常階段の上。





「…落とすの?」



流石の私も焦りがこみ上げる。

ここから落ちれば…お腹の子が無事じゃない。



女は殴りたくないのだけれど。



「余裕みたいね。ほんとムカつく」



「は…、」




そんなわけないでしょ。と言いかける。


でも、掴まれていた手は離され、私は非常階段を転げ落ちた。

私は無意識にお腹を抱えるようにした。



「「きゃ…っ」」

チョロチョロ付いてきていて、チョイチョイ口出ししていた女達は、まじで落ちた…!と驚いている様子。



「あっ、あんたが悪いんだから!!!行くよ!!!」