今日は私といる、と言っていた優雅は迎えに来た圭斗さんに引きずられて仕事に戻って行った。


「ねぇ、葉月」

「ん?」



「絶対に兄貴を裏切んないでね」


「上等でしょ」



柊雅君はフワッと笑った。



こっちが本当の笑い方なんだね。






「あいつ、優雅様の次は柊雅様に手を出してるの?」
「どっちでもいいんじゃない?」
「タチ悪い〜」
「ちょっと可愛いからって調子に乗りすぎでしょ〜。」





通りかかった女子の集団が、ワザとか、聞こえるように話し出した。


めんどくさい。無視しよう。と思っていると、柊雅君がすぐ隣にあった掲示板を思い切り殴った。



ーガァン!!!!!!


女子達の肩がびくっと揺れる。


私も唖然として柊雅君を見つめる。



これ程怒るとは…。







「聞き捨てならないなぁ…。えぇ?」


低くドスの効いた声。


「俺の一方的な片想いなんだよね。邪魔しないでくれる?…どう見てもお前らより葉月の方が美人だろ。このブスが」



優しい口調だったにも関わらず、最後には普段の柊雅君なら言わない言葉。




「とっ柊雅様っ!その女、優雅様とも皐月様とも付き合ってるのよ!?」
「そんな男遊びしてる奴なんて放っておきなよ!」
「「そうよ!」」













…ん?