バイクを門の前に乗り捨て、全速力で走って校舎に入った。


どこにいるのかも分からないまま、階段を駆け上がった。



「あ、優雅。こっちこっち」


藍音は物陰から俺を呼んだ。




藍音が指を指した方には、ニコニコと作り物の笑みを葉月に向ける柊雅と、面倒くさそうに相手をしている葉月がいた。



俺が小さく舌打ちを鳴らすと、藍音は苦笑いで言った。





「お前ら兄弟はいつになったら仲良くなるわけ?」


「未来永劫(エイゴウ)ありえねぇな」




そう言い残してから、葉月を後ろから抱きしめた。




葉月は驚き、柊雅は俺を睨みつけた。


まるで、「お前は何をしているのか」とでもいうかのような目。





葉月のお腹の中に新しい命があることを伝えると、柊雅は驚き、その目に絶望を覗かせた。